海を走る氷の馬

この世の楽しそうなこと全て体験しないと気が済まない

主婦 Year 1

結婚して一年が経った。マジか〜。

思っていたよりずっとあっという間に一年が過ぎてしまった。はじめて自分で生活のすべてをマネジメントするようになり、毎日目の前のことをクリアするので精一杯だったからかもしれない。
実家暮らし同士がはじめた新しい暮らしだったのでヨチヨチスタートだったけど、その分お互いに生活の中の自分ルールみたいなものがなく、随時決まりを作ったり変えたりしていけたのがよかった。
夫の良さは一緒に暮らし始めてから分かった。口では「彼氏としては面白みはないけど旦那さんなら安心なタイプ」なんて言っていたけど、まさかここまで暮らしやすい人物だったとは。穏やかで思いやりがあり下手な料理に文句も言わずいつもニコニコしている。休みの日にスーパーでも行こうかなと腰をあげるとついてきて必ず荷物を持ってくれる。ありがたや〜。私がキッチンでなにか落として「ギャーーー!」とか叫んだりすると必ず見に来てくれるし。まぁ見に来ても「あら〜」とか言ってるだけなんだけど、手伝うことがあればすぐやるよという気持ちが伝わるのでそういうささいなことがとても嬉しく、またこういうことが嬉しいっていうことが嬉しい。この人と結婚できて幸せだなと思う。こんな風に思うなんて結婚するときは想像もできなかった。

夫は一切こだわりを持たないわりに、私のこだわりは見抜いたり理解しているのがすごい。「なんでもいいよ」が口癖のわりに意外と目利きとでもいうか、気付いてほしいところを外さずにちゃんとおさえている。いつもボーッとしてるのにピンポイントで的確なこと言ったりするのでびっくりする。
夫は頭の回転も早ければ記憶力も抜群なので、言った言わない問答をする必要がないのも最高。なんでも覚えててくれる相手と暮らすのは楽でもあり、小手先のごまかしがきかない脅威でもあるけど。けっこうトンチンカンなことをする時もあるけど、その場の感情で動く私とは違い夫なりのロジックが通っているので(なぜこうしようと思ったんだ?)と夫の思考を探る謎解き要素もある。

私にとって結婚は「大好きな人とずーっと一緒にいる方法♡」ではなく「一生信頼するパートナー選び」だったから、青春時代に誰にも選ばれず満たされなかったルサンチマンは一生つきまとうものだと思っていたけど、それが少しずつ影を潜めていくのを感じる。
夫はなぜか私に自分の全てを委ねることにためらいがないので、この謎の信頼に応えられる自分であろうと私の短気でヒステリックな人格がほとんど登場しなくなってきた。優しいいきものと暮らすうちにどんどん自分も丸くなっていくというか……アニマルセラピー……????
出会った日からときめきはないけど間違いなくこれは愛。大事にするぞ。